プラセンタとはどんな成分?注射とサプリはどちらが効果ある?

成分辞典

女性に人気の美容成分であるプラセンタ。サプリメントや化粧品に入っているとキレイになれるのでは?とついつい期待してしまいますよね。 プラセンタとは、簡単にいってしまえば胎盤という臓器です。ヒトを含め哺乳類は、妊娠すると胎盤を通してお腹の中の赤ちゃんに栄養や酸素を届けます。反対に、赤ちゃんは胎盤を通して不要な老廃物をお母さんに渡しています。その他にもプラセンタには、造血、ホルモンの分泌、たんぱく質の合成などを行う大切な役割があります。 ヒトのプラセンタは食品として使うことはできませんが、注射に使われるプラセンタはヒト由来です。サプリメントやドリンクといった健康食品に使われているプラセンタは、現在は主にブタとウマのプラセンタが使われています。 プラセンタエキスには、アミノ酸、ビタミン、ミネラルといったさまざまな成分が含まれており、その中のどの成分が有効なのかははっきりとわかっていません。さらには、せっかく摂取しても消化管で分解されてしまうものもあるので、本当に効果が得られるのかは疑わしいところです。
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プラセンタの効果

美容効果

プラセンタには、細胞の分裂や増殖を促進する成長因子が含まれています。成長因子は神経の成長、肝細胞の再生促進、皮膚の増殖に関わり、自然治癒力を高めたり、アンチエイジング効果を得られる可能性があります。 株式会社スノーデンプラセンタの成分
https://www.snowden.co.jp/placenta/

更年期障害

プラセンタ注射(メルスモン)は、更年期障害の治療法の一つであるホルモン補充療法よりも副作用が少なく、継続することで症状の改善が見られるようになると考えられています。 更年期障害の場合は保険適用なので費用を安く抑えられますが、2006年からはプラセンタ注射を行なったことのある人は献血ができないという規制が引かれてしまったのでよく考えてから打つようにしましょう。 厚生労働省 ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用者の献血制限について
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/08/h0824-3.html プラセンタ注射は更年期障害に効くという評価もありますし、病院で専門外来が設けられるほど人気ではあります。しかし、実は更年期障害に関する研究は、ほぼ同じグループでしか行われておらず、対象人数が少ない、試験デザインが整っていないなどの問題点が指摘されています。今後のさらなる報告に期待しましょう。 むこうがおかクリニック プラセンタ注射は本当に素晴らしい!
http://yuencl.com/placenta2.html
更年期障害についての概要とプラセンタの効果、価格など

貧血改善

プラセンタは胎盤という臓器であり、プラセンタ自体は成分ではありません。プラセンタを構成している成分にはビタミンやミネラル、たんぱく質、核酸など色々なものがありますが、まだその構成はわかっていないのです。プラセンタは動物由来のものなので個体差や商品によって品質が大きく異なる可能性があります。 貧血改善には鉄や銅といったミネラル、ビタミンCが有効です。プラセンタにもこの成分が含まれているとすれば、プラセンタ自体ではなく元の栄養素に効果があるということになります。このことからも、貧血改善目的の場合は、わざわざプラセンタではなくても良いような気もします。

プラセンタが多く含まれる食品は?

哺乳類の胎盤 以前はウシの胎盤を使用していましたが、BSEが確認されてからは使われていません。日本国内ではブタやウマ由来のプラセンタが使用されています。

サプリメントの紹介

ザ・プラセンタ ソフトカプセル

1日分にプラセンタを10,560mg配合
国産SPF豚のプラセンタエキスを1日分にプラセンタとして10,560mg相当配合。その他コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチンなどの美容成分を配合しています。

プラセンタの安全性は?

プラセンタは動物由来の成分なので、元の動物の生育状況が良くなければなりません。動物自体が病気や感染がないこと、プラセンタ抽出の製造過程が衛生的な環境で行われていることが大切ですが、消費者はそこまで確認して買うことはあまりないかもしれません。 有害事象として、日本でも数件被害が報告されています。症状はアトピー性皮膚炎、食欲不振、倦怠感、黄疸、薬剤性肝機能障害、むくみ、皮膚炎、咳、微熱などさまざまです。これらの事例は、プラセンタの使用を中止したことで改善が見られたため、プラセンタが原因であると断定されました。この他にも、軟便や便秘といった消化器系の症状が出る可能性も指摘されています。 また、美容効果に関与する成長因子は、経口で摂取した場合は分解されてしまうようです。その他、ペプチドホルモン、酵素、サイトカインも同様に分解されます。サプリメントなどの健康食品からプラセンタを摂取したとしても、得られる効果は限られているということになります。こういう理由がプラセンタ注射が人気の背景なのかもしれません。 しかし、注射の場合はヒト由来のプラセンタが使われます。プラセンタ注射をした人は献血や臓器提供ができなくなるという事実からも、感染症のリスクは完全否定できないものと考えるべきでしょう。

妊娠中・授乳中

安全性の確認できる情報はないので使用は控えましょう。

禁忌

医薬品との相互作用はわかっていません。持病がある人、薬を飲んでいる人は医師や薬剤師に確認しましょう。

管理栄養士の見解

プラセンタは美容効果や更年期障害の改善に役立つとも言われますが、信頼性の高い情報が少なく、口コミ評価ばかりです。 特に、経口摂取の場合は特殊な成分は分解されてしまいますし、他の栄養素は他の食品からでも補えてしまうので、プラセンタではなければならない理由が見当たりません。 また、注射は経口と違い、体に入った成分が吸収されるので効果は高いかもしれませんが、ヒト由来のプラセンタなので健康被害の心配が残ります。特に薬剤性肝障害は恐ろしいものです。 プラセンタでなくてはならない理由がないのなら、特にプラセンタを使用する必要性は感じません。動物由来の成分ということで問題点も多い印象です。 平成30年8月には、ラエンネックというプラセンタを打った患者に、B型肝炎への感染疑いがあるとのことで一時的にラエンネックの使用が中止されました。因果関係は明らかではありませんが、ラエンネック自体の品質の問題もしれません。メルスモンは通常どおり継続されていますが気をつけた方が良いかもしれません。 ラエンネックの使用を当面の間差し控えることに関するお知らせ 株式会社日本生物製剤
http://www.shiba-clinic.net/docs/pdf/laennec.pdf プラセンタの人気は徐々に下火になっていくと予想できます。プラセンタによるさまざまな健康被害のリスクを把握したうえで、使用を検討しましょう。

参照リンク

「健康食品」の安全性・有効性情報 プラセンタ
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail755.html ヨミドクター
https://www.google.co.jp/amp/s/yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161012-OYTEW183349/amp/ スノーデン株式会社
https://www.snowden.co.jp/placenta