にんにくの有効成分アリシンは硫化アリルとも呼ばれており、アリインから生成する成分です。にんにくを細かく刻んだり、すりおろしたりするときに細胞が壊れることによってアリシンが生成します。アリシンの生成は、アリイナーゼという酵素によるものです。
つまり、固形のそのままのにんにくにはアリシンは存在していません。にんにく独特の香りもアリシンによるものです。アリシンは比較的不安定な成分で、放置しておいたり調理をしたりすることによって失われてします。
また、アリシンを油で加熱することによってアホエンに変化します。アホエンはオイルとして販売されていたり、水虫の治療薬として用いられることもあります。
アリシンの効果
滋養強壮
ガン予防
殺菌作用
動脈効果予防
アリシンが分解されるときにできる含硫アミノ酸には、血中のHDL-コレステロールを増やす働きがあります。HDL-コレステロールは善玉コレステロールとも呼ばれ、LDL-コレステロールを減らす働きをしてくれます。この作用によって、動脈効果の進行を防ぎ、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病、さらには脳梗塞や心臓病といった重大な循環器疾患予防にもつながります。
滋養強壮
アリシンはビタミンB1と結びつくことによって、脂の中で溶けやすいアリチアミンという成分に変化します。脂溶性になると体の中に長く留まることができるようになり、疲労回復や滋養強壮に効果を発揮します。にんにくはビタミンB1自体の含有量も高く、スタミナを付けるためによいとされるのはこのような理由があるようです。
ガン予防
アメリカの国立ガン研究所では、最もガン予防に効果的な食材としてにんにくを位置付けています。アリシンはナチュラルキラー細胞を活性化させることがわかっており、アリシンが分解されるときにできる含硫アミノ酸にも体内の有害物質や発ガン物質を取り除く働きがあるといわれています。
殺菌作用
アリシンは殺菌・抗菌作用があり、風邪のウイルスやO-157を死滅させる力があります。この作用は生のにんにくでも加熱をしたものでも変わりません。
アリシンを含む食品
にんにく、玉ねぎ、らっきょう、長ネギなど
サプリメントの紹介
リプサ にんにく卵黄
アミノ酸を豊富に含む香酢と、ビタミンやレシチンを豊富に含む卵黄を配合しています。
アリシンの安全性は?
アリシン自体ではなく、にんにくとしての過剰摂取となりますが、胃腸に刺激を与えて下痢や腹痛、鼓腸、などの原因となる場合があります。
また刺激性接触皮膚炎を起こす可能性もあり、職業柄にんにくと接触する機会が多かったり時間が長かったりする人は気を付けましょう。
妊娠中・授乳中
通常の食品から摂取する場合は問題ありません。ただし、堕胎作用を持つ可能性があるので食べ過ぎには注意が必要です。
授乳中の摂取は母乳から移行する可能性があります。どのくらいの摂取で影響が出るのかは不明ですが、できれば可能な限り摂取は控える方が良いでしょう。
禁忌
消化管を刺激する作用があるので、消化機能が弱い人は注意してください。消化性潰瘍疾患の人は特に慎重に摂取しましょう。
また、血をサラサラにする作用によって出血傾向が高まります。手術を控えている人は2週間前には摂取をやめるようにしましょう。血液凝固系の疾患を持つ人も注意が必要です。薬を飲んでいる人は医師や薬剤師に確認することがおすすめです。
参照リンク
「健康食品」の安全性・有効性情報 ニンニク
http://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail71.html
調理学学会誌 ニンニクとニンニク臭の消臭について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/43/6/43_378/_pdf
バイオミディア にんにく成分の知られざるはたらき
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/8903/8903_biomedia_5.pdf
四国地域イノベーション創出協議会 食品中の健康機能性成分の分析法マニュアル
https://unit.aist.go.jp/shikoku/food_forum/manual/54H.pdf
上毛新聞社 元気+らいふ
https://www.jomo-news.co.jp/ad/genkipluslife/data/vol009/karada/